Surgery
避妊・去勢手術
避妊手術は、卵巣と通常は子宮も取り除く手術であり、去勢手術は精巣を除去する手術です。手術によって不要な妊娠を避けるだけでなく、生殖器系の疾患や性ホルモンに起因する病気のリスクを減らすことができます。また、攻撃性やマーキングといった性ホルモン関連の問題行動も抑制する効果が期待されます。避妊や去勢手術の実施は、動物の将来に大きな影響を与える選択であるため、獣医師としっかりと相談し、最適な時期と方法を決定することが重要です。
当院の避妊去勢手術の特徴
1.複数の鎮痛剤を使用しています
当院では、動物の痛みを最小限に抑えるため、術前・術中・術後において複数の鎮痛薬を併用するマルチモーダル鎮痛を行っています。鎮痛薬には様々な種類があり、それぞれ異なる神経部位に作用するため、これらを組み合わせることで痛みを大幅に軽減することが可能です。
2.抜糸の必要がありません
当院では、術後の回復を考慮し、最小限の侵襲で避妊去勢手術を行っています。また、表面に糸が出ない縫合方法を採用しており、抜糸の必要がありません。
3.手術終了後からお迎えまでICUで管理します
術後は必ず酸素室に入り、覚醒を待ちます。当院では、去勢手術や避妊手術など健康な動物に行う手術であっても、術後には必ず酸素ルームで過ごします。また、健康な動物への手術であっても、通常の手術と同じ高レベルの麻酔・手術管理を徹底しています。
避妊去勢手術のメリット
1.問題行動の防止
発情期のストレスの軽減、マーキング行為の抑制、望まない妊娠を防ぐことができます。
2.病気の予防
避妊去勢手術を実施することで様々な病気を予防することができます。
男の子の場合
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前立腺の病気
前立腺が大きくなったり(前立腺肥大)、細菌が感染したり(前立腺炎)、前立腺が腫瘍化したりすることがあります。前立腺が肥大すると、直腸を圧迫するため、下痢が続いたり、便をする時に痛みを伴ったりします。 -
肛門周囲腺腫
肛門の近くに「がん」ができます。治療方法は、手術による摘出ですが、悪性のものも多いといわれています。 -
会陰ヘルニア
肛門の横の筋肉が薄くなることにより、直腸や膀胱がヘルニアを起こします。腸が締めつけられて壊死してしまうこともあります。年をとってから男性ホルモンのバランスが変わることによって起こる病気といわれているため、早めに去勢手術で予防できます。 -
精巣腫瘍
精巣の「がん」です。年をとるごとに腫瘍になりやすくなります。停留精巣といって、精巣が陰嚢の中に降りて来ない子がいますが、その場合、将来腫瘍化する可能性が非常に高いといわれています。
女の子の場合
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子宮蓄膿症
子宮の中に膿がたまる病気です。発情を繰り返す度に、この病気にかかる可能性が高くなっていきます。病状が進むと元気食欲がなくなり、飲水量や尿量が増えてきますが、かなり悪化するまで症状がほとんど出ないこともあります。治療が遅れると死に至ることも珍しくありません。高齢のわんちゃんに非常に多い疾患です。 -
乳腺腫瘍
乳腺の“癌”です。お乳にしこりができて、気付きます。肺や肝臓に転移することが多く、肺に転移してしまったら、呼吸困難を起こして、命を落とすことがあります。また乳腺のしこりもどんどん大きくなり、皮膚が破れて出血することがあります。わんちゃんの乳腺腫瘍は50%が、ねこちゃんは90%が悪性です。
発情を繰り返す度に乳腺腫瘍になる可能性が高くなるため、できるだけ若いうちに避妊手術をお勧めします。高齢になってから避妊手術をした場合、乳腺腫瘍になる可能性は残りますが、避妊手術をしないよりは、手術をする方が発生する確率は減るといわれています。
避妊去勢手術のデメリット
1.太りやすくなる
様々なストレスから解放される代わりに太りやすくなります。
しかし、これはフードの量や種類を調整することで解消されます。避妊去勢後の食事管理のポイント等ご不安な点は当院でお気軽にご相談いただけます。
2.麻酔リスク
去勢手術は全身麻酔をかけて行います。どうしても、麻酔のリスクは付きまとってしまいます。当院では麻酔前の身体検査や血液検査をしっかりすることと、麻酔中の管理(心電図・呼吸数・血圧など)をしっかり行うことで、極力回避することができます。
手術の流れ
予約
ご予約はお電話又は窓口での対応となります。
来院
~10時頃にご来院ください。ご来院時は絶食絶水でお越しください。
術前検査
午前中に実施いたします。術前検査は血液検査など全身状態を確認いたします。
手術
午前診療と午後診療の間の時間に手術を実施いたします。術後は複数の鎮痛剤を利用し、痛みの管理を行っております。
術後
手術終了後、意識が戻り次第飼い主様にご連絡させていただきます。お迎えまでの期間は酸素室で管理しております。傷口を舐めるのを防ぐカラーはレンタルいたします。
傷口チェック
術後1週間後、傷口のチェックでご来院ください。
最後に
避妊や去勢手術は一定のリスクを伴いますが、ストレスの軽減や様々な病気の予防といった多くのメリットがあります。これらの手術は動物を迎え入れてから間もない時期に行われることが多く、初めての経験で戸惑う飼い主様も多くいらっしゃいます。手術に対する不安や疑問がある場合は、お気軽に当院にご相談ください。